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原子力発電―8 「核燃マネー」

朝日新聞青森総局2005「核燃マネー 青森からの報告」岩波書店
青森県といえば「核」を思い出すくらい有名になってしまった。青森県もなにも好きで「核」を受け入れているわけではないだろう。この本の冒頭に電源3法交付金を活用して作られた公共施設(16個)の一覧表がある。事業費を合計してみたら101億9千万円になった。
(大部分は行楽、観光施設で産業振興に関すると思われるものは2個)一番高額なのは六ヶ所村文化交流プラザの32億8千万円だ。この本には書かれていないがこのプラザ(スワニーというらしい)には日本原燃が寄付したドイツ製ピアノ「スタインウェイ」があるそうだ。(「そんな立派なピアノ誰が弾き、誰が聞くの?」と言ったら六ヶ所村の人に殴られるかな)
核燃マネーが青森県をだめにした、というトーンで書かれていて、核燃マネーが深く浸透していることはわかった。しかしよく考えてみると青森県が危機に立っているのは核燃マネーのせいではない。核燃マネーがなかったら青森県はとっくに財政再建団体に転落していたのではないだろうか。仕方ないので「核」を受け入れたというべきだろう。もともと朝日新聞青森版に連載されたものなので無理な注文かもしれないが、もう少し核燃マネーに頼る県や県民の体質に切り込んでほしかった、というのが私の感想。
by takaminumablog | 2006-06-05 12:35 | 読書日記(環境問題)
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