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渡部潤一2008「最新・月の科学-残された謎を解く」NHKブックス 

1969年7月20日(日本時間21日)と言っても覚えている人はいないだろう。こちらの記事参照。皆が忘れてしまう位、昔の話だ。「あれから長い月日がたち月の科学もさぞ進歩し、どのようにして人間が滞在するのか位が課題だろう」と漠然と考えていた。しかし、それは大間違いだった。この本を読むと、月については基本的なこともほとんど分かっていないということが理解できる。例えば月の表と裏の相違はどうしてできたかすら分かっていないらしい。
 月の自転周期は 地球を周回する公転周期と完全に一致していて、地球から見える側(表)は常に一定である。
これは起きあがりこぼしを考えると理解しやすい。起きあがりこぼしのお尻は頭に比べて相当重くなっている。そのため、お尻が地球の重力に引かれるので、お尻を下にして(つまり地球に向けて)立ち上がった状態がもっとも安定である。実は月の表側は、裏側に比べて、やや重くなっている。つまり月の引力重心が天体の形状重心よりずれている。そのため、起きあがりこぼしのように、月はそのお尻を(つまり表側を)地球に向けて安定した状態になった末に、そのまま止まってしまったと考えられる。
ところで、探査機によって撮影された月の裏面には、ほとんど海といえるものがない。これを月の表と裏がまったく異なっているという意味で、二分性あるいは二面性と呼んでいる。

最大の謎は、表と裏で大きく異なる、月の二分性がどのようにしてできたか、である。月は大規模に融解したマグマの大洋から白くて薄い斜長石が浮いて表面を覆ったと考える研究者が体勢を占めているが、その厚さが表で薄く裏で厚い理由は今もって解明されていない。

この本は月について何が分かっていないかを理解するのによい本だ。
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by takaminumablog | 2008-07-21 08:24 | 読書日記(その他の科学) | Comments(0)

ビョルン・ロンボルグの新著

ビョルン・ロンボルグ著 山形浩生訳「地球と一緒に頭も冷やせ」
地球温暖化について書くとくだらないコメントが入るので書きたくないが、地球温暖化が大問題だと考えている人が多いようなので紹介しておく。
評判になった「環境危機を煽ってはいけない」(邦訳文芸春秋)の著者による昨今の感情的な地球温暖化危機論に対する批判である。本の概要についてはこちらを参照。著者は地球温暖化を否定するのではなく、IPCCの予測を前提にして議論している。IPCCの予測からはけして導き出されないような極端な話がまかりとおっていることへの批判である。例えば地球温暖化により死者が増えるということだけが強調されている。しかし寒さで死ぬ人が減少することを無視している。(ヨーロッパでは毎年20万人の人が暑さで死んでいる。しかしヨーロッパでは寒すぎるために毎年150万人の人が死亡している)
また、地球温暖化問題への対処として現在考えられているような二酸化炭素排出削減はあまりにもコストがかかりすぎて現実的ではないと批判している。まともは判断力をもった人が読めば納得していだだけるだろう。

 “Cool it!”の邦訳ではあるが、タイトルがよくない。(「地球温暖化を冷静に考えてみよう」くらいにして欲しかった) この邦訳タイトルのせいで、内容まで誤解されるだろう。 また訳者の使う日本語がくだけ過ぎていて読んでいるうちに疲れてくる。(本書以外でも同様) 出版社は訳者に対してもっと厳しい注文をつけていただきたい。
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by takaminumablog | 2008-07-05 15:25 | 読書日記(環境問題) | Comments(0)