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アメリカに関するお勧めの本とお勧めできない本

お勧めできない本:堤未香2008「ルポ貧困大国アメリカ」岩波新書
お勧めの本:渡辺靖2007「アメリカン・コミュニティ国家と個人が交差する場所」新潮社
お勧めできない本について書くのは気が引けるが、「ルポ貧困大国アメリカ」はずいぶん売れているらしいので、一言文句を言いたい。私もアメリカの貧富の格差は驚くばかりだ、ということに異論はない。しかしこの本が貧富の格差の原因を市場原理主義、民営化としている点には納得できない。この本には市場原理主義がどうして貧富の格差を拡大するのか、民営化がどうして貧富の格差を拡大するのか一切かかれていない。その理由として著者がインタビューした貧しい個人の言葉が引用されているに過ぎない。要するにアメリカについて知識がない人を、巧みな引用で(よく言えば文章力で)誤魔化しているのだ。普通に考えれば、貧富の格差は労働市場がゆがめられているから生じるのではないのか。刑務所の民営化など日本人では想像しにくいかもしれないが、民営化が貧富の格差を拡大するという根拠はどこにもない。日本の例を見ても、駐車違反取締りを民営化したことで新しい職業ができたではなか。
一方お勧めの「アメリカン・コミュニティ」の方は面白い。一つ一つの記述は短いがアメリカの典型的な九つのコミュニティ(ゲーテッド・コミュニティ、ミドルタウン、メガチャーチ、刑務所の町など)の訪問記録だ。これを読むとアメリカがコミュニティを単位として分裂に向かっているのではないか、と考えさせられる。そしてそれぞれのコミュニティの実態についてもう少し知りたくなってくる。
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by takaminumablog | 2008-04-16 10:02 | その他の読書日記 | Comments(0)