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日本語をもてあそぶ人々

安田敏郎2007「国語審議会―迷走の60年」講談社現代新書
まず、あとがきを引用。
あとがきから、(あるいは「だけ」)読む方も多かろうと思い、本書の内容を簡単にふりかえっておく。柱は二つ。ひとつは国語審議会の歴史を簡単に追うこと。類書もあるので網羅的にはしなかったが、要点をおさえつつ、現代派と歴史派の対峙から一体化、さらには倫理化を、「時流のあと追い」をキーワードにしてえがいた。このあたり、おおまかな流れだけなので、ややまとまりを欠く印象があろう。二つ目の柱は、国語審議会答申やそれに関わった人物の主張から言語観、とりわけ国語観・敬語観の変遷をみることである。戦前からつづく国の言語政策機関の言語認識とは、もっとも「正統」とされる言語観であり、社会のあり方に親和的なものである。論者が真剣であるほどに、空回り感が強い。
 こうしたことに違和感をもってもらうことが本書の最終的な目標である。しかし、その違和感にどう対処すればよいのかを具体的には論じていない。
 ということで、本書が棚に返されてしまうかもしれない。

著者は「棚に返されて買ってもらえないかもしれない」と心配するが、著者の目標は充分達成され、とても面白い。滑稽といったほうが良いかもしれない。
国語審議会(現在は文化審議会国語部会)に関わった人たちはイデオロギー過剰である。一般に言語の専門家は「人は言語によって考え、言語が思考を規制する」という面が強調し、国語を自分の信じるイデオロギーで変形しようとしてきた。それは今も敬語をダシにして続いている。
 幸いなことに現実の日本語はイデオロギー過剰なおじいさんたち(なぜか女性の言語学者は少ないようだ)に影響されないで、どんどん変化している。JIS漢字コードは国語審議会とは無関係に決定されている。(本書最終章参照)小説なども携帯で読む時代になればJISの影響は計り知れないくらい大きい。現実に使われる日本語はどんどん変形し、必要なら新しい言葉も(外来語や変な外来語という形で)導入され、必要ならば文字ですらも顔文字などのように追加されるだろう。「人は言語によって考え、言語が思考を規制する」というよりも「人は思考に必要なら言葉を作り出す」という側面が強調されるべきだろう。
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by takaminumablog | 2008-02-15 11:06 | その他の読書日記 | Comments(1)

偉大なるコナン・ドイル

エドゥアール・ロネ著 高野優監訳 柴田淑子訳2007「変な学術研究2 活魚で窒息、ガムテープぐるぐる巻き死、肛門拳銃自殺」早川文庫
原著では同一著者による別の本だが「変な学術研究1」を読んだついでにこちらの本も読んでみた。 奇妙な死に方(主として自殺)の事例がユーモアをこめてかかれて書かれている。ホラー映画以上に気味が悪い話で、推理小説作家にはためになるかもしれないが、一般人にはあまり気持ちの良いものではない。その事例の中でとても印象に残ったものが一つある。シャーロックホームズの事件簿の中に「なぞのソア橋事件」というのがある。その模倣自殺の事例が2件もあるという話には驚いた。「偉大なる(?)コナン・ドイル!」と感嘆せずにはいられない。
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by takaminumablog | 2008-02-08 13:08 | その他の読書日記 | Comments(0)

エドゥアール・ロネ著 高野優監訳 柴田淑子訳2007「変な学術研究1」早川文庫

本のカバーには「光るウサギ、火星人のおなら、叫ぶ冷蔵庫」と書かれているからよほど奇妙な学術研究が書かれているかと思ったが、そうでもない。見方によってはちょっと変わってはいるが、割りにまともな研究や発明54個、簡略に紹介されている。 私が面白いと思ったことや気がかりなことを列挙する。
「ロック・アラウンド・ザ・ロック」
50匹の犬に ブリットニー・スピアーズの歌やロック・ミュージックを聞かせた場合の犬の反応についての研究が紹介されている。素人が予想するようにロック・ミュージックを聞かせると猛烈に吠え立てたらしい。そのあとブリットニー・スピアーズを聞かせると犬を落ち着かせる効果があったらしい。
この話を聞くと大きな疑問がわいてくる。犬の聞こえる音の周波数は人間とは異なり、特に高音域で広い。犬にだけ聞こえる犬笛というものがある。人間に聞こえる音だけではなく、音楽をかけることによって家具などが振動で人間に聞こえない音をだしてはいないだろうか。紹介されて研究はそのような問題を考慮したのだろうか。残念ながら、この本にはそこまでは紹介されていない。
「ペンギンは空を見上げて転ぶか」
ちょっと有名になった伝説の火元はこの本だったらしい。もちろん「転ぶ」というのは嘘。
「マーフィーの食卓」
マーフィーの法則「トーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、カーペットの値段に比例する」は物理学的には正しいのかを論じている。直感的にはバターを塗った面が上になる確率も下になる確率も50%のように思える。しかしバターを塗った面が少し重いため、通常のテーブルの高さでは下になる確率がかなり高いらしい。したがって法則を「トーストが落下する場合はバターを塗った面が下になる」と簡略化すればかなり正しいようだ。勉強になった。
「ブランコの新しい揺らし方」
米国の5歳の少年がブランコの新しい揺らし方で特許を取得したそうだ。この少年の父親は知的財産権を専門に扱う弁護士らしい。「エ!子どもがその揺らし方でブランコに乗っていたら特許権侵害になるの?」と驚いた。しかし、よく読むと「このライセンスは発明者への要請に応じて、自由に使用できる」と説明されている。

他にも色々面白い話があるが書き出したらきりがないのでこの辺でやめておく。
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by takaminumablog | 2008-02-05 17:28 | その他の読書日記 | Comments(0)