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進化とはなんだろう

大塚攻2006「カイアシ類・水平進化という戦略―海洋生態系を支える微小生物の世界」に本放送出版協会
最近「進化」という言葉がはやっている。「Googleマップがまた進化」「ボディが進化したデジタル一眼レフ・・・」「ウェブログを進化させるRSS」など例を挙げればきりがない。しかし「はやり言葉としての進化」は単に進歩、高度化のことではないのか、と違和感を覚える。では、だれかに「進化とは何?」とたずねられても一言では答えられない。そんな折、上記の本が目に留まった。この本は次のような文で始まる。
われわれ人類は、知性を武器に地球生命の食う食われるの連鎖を断ち切った存在であり、文明を築き上げ、自分たちが地球生命の頂点に位置すると思いがちである。その結果、原子生物からヒトにいたる複雑化・高度化の道を進化と捉えやすい。しかし生命の本質はすこしでも自分の子孫を残し、自分たちの領域を広げていく「はびこる」ことにある。30億年前に生まれた古細菌も、4億年前はじめて地上に進出した植物も昆虫も、ひたすらはびこることを目指していた。われわれ人類も地球生命のボスザルのような顔をしているが、知性は単にはびこるための戦略にすぎないともいえる。本書でとりあげるカイアシ(橈脚)類は、はびこることにかけては人類も及びもつかない達人なのである。ヒトに至る複雑化・高度化を「タテ」の進化とすれば、カイアシ類のように多様化によって地球生命圏にあまねくはびこる生命は「水平進化」という戦略をえらんだのではないだろうか。われわれが知性を得てからまだたった10万年にすぎない。しかしすでに地球環境におおきな影響を与え、自滅の兆候さえある。一方、カイアシ類は4億年以上のたゆみなき多様化の道を辿り、ヒトが説滅した後も地球にはびこりつづけるであろう。われわれが地球生命の歴史をふりかえるとき、タテの進化の視点だけでなく水平進化という視点も必要ではないだろうか。

カイアシ類の外見の多様性もさることながら、生息場所には、海洋と陸水、底生性と浮遊性、浮遊性と言っても水深によって分かれているなどの多様性にはおどろく。寄生の多様性にいたってはもっとすごい。
カイアシ類の寄生する部位は、サメの眼球、タラの腹腔内、ハダカイワシの心臓内、ホヤの鰓嚢(さいのう)内、ウニの棘の中、ホタテガイの鰓、サザエの外套膜内、アミの育房内、ワタリガニの卵塊内、イソギンチャクの胃腔内等々ありとあらゆる場所を網羅しており、「なんでこんな場所に!」とただ驚くばかりである。

 プランクトンのプの字も知らない私にとっては、専門用語がでてくるたびに、解説してあるページに戻って読み直すはめになり手間取った。しかし進化という言葉の意味が少しだけ分かったような気がした。
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by takaminumablog | 2006-10-21 11:14 | 読書日記(その他の科学) | Comments(1)