カテゴリ:読書日記(環境問題)( 44 )

ついに破綻したIPCC第5次報告

IPCC第5次評価報告が昨年9月に発表された。気象庁のサイトから日本語の要約が読める。
このIPCC第5次評価報告にたいする厳しい批判が国際環境研究所のサイトに4回にわたって連載されている。ぜひ一読されたい。
マスメディアばかりを情報源に生活している人は、あまり気づかないだろうが、二酸化炭素削減は一向に進んでいないにもかかわらず1998年ころから温暖化はほとんどとまってしまった。(この事実は「異常気象と人類の選択」の著者、江守正多も認めている)普通に考えれば、IPCCの過去の評価報告は誤っていたことになる。何らかの自然変動ということもありうるが、20世紀後半の急激な温暖化は自然変動では生じないというシミュレーション結果とは相容れない。第5次評価報告では大幅な修正が必要になるはずだった。
そこで考え出された(?)アイデアが「海水が熱を吸収した」ということらしい。唐突な主張には違和感がある。それを証明するような詳細なデータが提出されるまでは、単なる思いつきにとどまる。
また「二酸化炭素の累積排出量と世界平均地上気温の上昇量は、ほぼ比例関係にある。(新見解)」(気象庁による翻訳記事p.3)というのも変。こんな単純な法則が、今頃、なぜ新見解としてでてくるのだろう。古気候では、温暖化が、急激な寒冷化をもたらし、その後温暖化した事件が知れている。累積二酸化炭素が温暖化をもたらすとしても、「比例関係」というのはおかしい。(知らない方は「ヤンガードリアス」で検索し確認されたい)
要するにIPCC5次評価報告は1998年ころからの温暖化停止(中断?)をうまく説明できない、しかし今までの主張を大幅に変更できない、という制約の中で取り繕った評価報告のように見える。
IPCCはウォーレス・ブロッカーの次の言葉を噛み締めてほしい。
私の思考やアイデアにおいて、これらのコピュータシミュレーションが影響を与えた部分は、実は一部の特筆すべき例外を除き、ほんの少ししかない。思うに、これらのシミュレーションが正しく予測を算出した例はきわめて少ない。むしろ、ほとんどの場合、すでに観測された古気候をただしく再現すべく懸命に追いかけていると言った方がよいかもしれない。
(中略)
私は、過去の気候変動をモデルで再現することが無意味だと言っているわけではない。むしろ、その重要性はとても大きいと認識している。しかしながら、これらのモデルが完全に過去を再現できるようになるまでは、シミュレーションで得られる化石燃料起源の二酸化炭素の影響には確証はもてないのである。
「気候変動はなぜ起きるか グレート・オーシャン・コンベヤーの発見」講談社ブルーバックスp.17
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by takaminumablog | 2014-02-10 13:59 | 読書日記(環境問題) | Comments(1)

地球寒冷化?

日本経済新聞web版に次の文から始まる記事があった。
(日数が経過するとこの記事へのリンクはきれてしまうかも)
われわれ地球上で生活できるのも太陽の恵みのおかげ。その太陽の様子が最近おかしくなっている。歴史上太陽活動が不活発であった時期があり、その時の地球は寒冷だった。太陽はこれからどうなり、地球の気候への影響はあるのか。

簡潔に言うと「詳しくは日経サイエンス8月号を参照」ということで日経新聞の方だけ読んでも何のことか分からない。
 最近の太陽活動が不活発で、寒冷化した時期は次の二つである。
マウンダー極小期(1650年頃~1700年頃) ロンドンのテムズ河が凍った記録がある。日経サイエンスにその様子を描いた絵が掲載されている。
ダルトン極小期(1800年頃~1820年頃) こちらの方は比較的短期間であったため、大きな社会的影響はなかったもしれない。しかし「寒冷化による衣類需要の増大に対してマニュファクチュアでは対応できなくなり工場制機械工業が始まった」とも言われる。(詳しく勉強していないので真偽は不明)
 太陽活動と太陽黒点には強い相関性があり、太陽黒点は古くから研究されている。(1600年頃から記録が残っている)また太陽の活動にはおよそ11年の周期性があり、太陽活動が不活発な時はその周期が伸びる。さらに、国立天文台と理化学研究所などの国際研究チームは4月19日、衛星「ひので」による観測で、北極だけがS極からN極に反転し、南北両極が同じN極になりつつあることを確認したと発表した。この現象はマウンダー極小期でも起きたと考えられている。太陽活動の低下が本格化しそうである。詳しくは日経サイエンスの記事を読まれたい。
 地球温暖化の二酸化炭素主因説を信じる人たちが退場するときがやってきたようだ。いままで地球温暖化を煽ってきたマスメディアも太陽活動の低下をニュースで取り上げ出した。こちらのブログにリンクがあるので確認できる。
二酸化炭素削減などの無駄がなくなるのはありがたいが、それ以上に大きなマイナスがあるだろう。地球寒冷化はエネルギー需要の増加と農産物の不作をもたらすため、地域紛争、戦争などの遠因になる。
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by takaminumablog | 2012-06-28 14:53 | 読書日記(環境問題) | Comments(0)

地球温暖化論の嘘を学ぶための読書案内-5

渡辺正2012「『地球温暖化』神話 終わりの始まり」丸善出版
 地球温暖化論への疑問を解説した本は多数あり、さほど目新しいものではない。この本にはもう一つ重要なメッセージが語られている。それは本のタイトルが示す通り、 「地球温暖化が偽りであったことが明らかになり始めた」というものである。以下にそのポイントを説明する。
ポイント1.世界の二酸化炭素排出は増え続けているが、1998年以降地球の温暖化は緩和されている。米国の気温を見ると顕著。
ポイント2.従来定説になっていた気候感度の値(ハンセン予想4.2度、IPCC予想3度)よりもずっと小さな予想値が相次いで発表された。(空気中の二酸化炭素が2倍になったとき気温が何度あがるかを気候感度という)
ポイント3.クライメートゲート2.0が起きた。クライメートゲート事件とは2009年11月コペンハーゲンで国連気候変動枠組条約会議(COP15)開催にタイミングを合わせたようにIPCC(気候変動に関する政府間パネル) のメンバーの電子メールが大量にウェブで公表された。その中にデータの偽造を示すものがあり、ウォーターゲートにならって「クライメートゲート」事件と呼ばれるようになった。クライメートゲート2.0とは;
COP17を一週間後に控えた2011年11月22日、おそらく2年前と同じ人物がメールおよそ5350通(2009年の5倍)を複数ブログサイトに載せ、「クライメートゲート2.0」の名がついた。2011年末現在和文の記事は2日後の短いロイター電1件しか見ていないが、英米のメディアの報道は100件に近い。

疑問に思う方はClimategate2.0で検索して日本のメディアの偏向ぶりを確認されたい。
2009年の事件では「文脈を無視し、話の一部だけつまみあげたにすぎない」と突っ張る当事者いた。だが今回は「文脈を埋める」メールもたっぷりとある。いよいよ追い詰められ「転向」を考える研究者もでるのではないか?


なお、この本には環境対策車や再生可能エネルギーに関して荒っぽい記述が多い。地球温暖化神話に凝り固まったネットイナゴの批判(揚げ足取り)にさらされるのではないか。
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by takaminumablog | 2012-03-21 15:08 | 読書日記(環境問題) | Comments(0)

地球温暖化論の嘘を学ぶための読書案内-4

巷に言われる「地球温暖化の二酸化炭素主因説」に疑問を持つ方は次の本を読んでほしい。
H.スベンマルク/N.コールダー著 青山洋訳「不機嫌な太陽‐気候変動のもうひとつのシナリオ」2010恒星社厚生閣
ただし、この本には本筋から少し外れる沢山のエピソードが書かれていて、それらが面白いと感じる人でないと読みにくいだろう。 この本の書評は検索すると多数見つかるが、こちらこちらの書評を一読されるとよい。
この本(原著)が書かれてから年数を経過しているが、H.スベンマルクの提唱する宇宙線による雲生成効果もまだ確定的ではなく、発展途上のようだ。なにせ過去の宇宙線の量と雲の量を知ることは極めて難しい。しかし二酸化炭素主因説では説明しきれない激しい地球の寒暖の変化を説明できる可能性を秘めた説であることは間違いないだろう。
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by takaminumablog | 2011-12-30 13:57 | 読書日記(環境問題) | Comments(0)

地球温暖化論の嘘を学ぶための読書案内-3

クライメートゲート事件によって明らかにされたことは何だったのだろうか?
 私は次のように解釈している。クライメートゲート事件で流出したメールは、マイケル・マンの示した温度変化の曲線(ホッケースティック曲線)(注1)が誤りであったことを決定的にした。またホッケースティック曲線が地球温暖化の二酸化炭素主因説にとってなくてはならぬものであることは「チーム」(注2)もよく知っていた。つまり地球温暖化の二酸化炭素主因説に大きな打撃を与えた。

注1)ホッケースティック曲線とは:「古気候学者のマイケル・マンは木の年輪から過去千年以上の気温変化を見積もった結果を発表した。 その過去の気温変化が19世紀以降の急激なカーブを示していたため、その気温変化の曲線が「ホッケースティック曲線」と呼ばれるようになった。」(Wikipedia「ホッケースティック論争」より引用) ホッケースティック曲線は、クライメートゲート事件発生以前から批判の多い、はっきり言えば常識外れのものであった。
注2)流出したメールに登場する国連IPCCの見解を作ってきた気候学者のエリート集団。前掲書で「チーム」と呼ばれている。

過去地球は激しい寒暖を繰り返してきた。氷期と間氷期があったこと、過去に全地球が凍結するほどの氷期があったこと(スノーボールアースという)は常識である。そのような激しい寒暖を引き起こすメカニズムがある以上、そのメカニズムを考慮に入れない二酸化炭素主因説を無条件に信じる人はどうかしていると言わざるを得ない。そこで地球の激しい寒暖を作り出すものは何かという観点から参考書を探すと次の本が目に留まる。
桜井邦明2010「移り気な太陽 太陽活動と地球環境との関わり」恒星社厚生閣
この本を読めば、地球の寒暖と太陽活動に強い相関関係があることが納得できるだろう。一点気がかりな点をコメントしておく。著者は慎重な言い回しながら「地球はこれから寒冷化する」と言いたいようであるが、冷静に考えれば「不明」と言った方がよいであろう。太陽の活動を引き起こすメカ二ズムは解明されていない。地球の磁場を作り出すメカニズムも解明されていない。過去に太陽活動と地球の寒暖に強い相関関係があったとしても、これから太陽活動がどうなるかは全く不明と言った方がよい。
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by takaminumablog | 2011-11-19 08:20 | 読書日記(環境問題) | Comments(0)

地球温暖化論の嘘を学ぶための読書案内-2

すでに私の読書案内1でお勧めした「気候変動とエネルギー問題 CO2温暖化論争を超えて」を読んでいる方には蛇足になるが、クライメートゲート事件を短く要約すると次の様になるだろう。
・地球温暖化問題の高名な研究機関(CRU)がハッキングされ、メールが流出した。そのメールに「気温が上昇傾向にあることを示すために『trick』をほどこした」という内容が書いてあった。
・地球温暖化の基礎データの公開要求をいかに回避するかについても膨大なメールがあった。
・一般に科学技術論文は審査付きの学術雑誌に掲載されて評価が高まる。その学術雑誌の審査、掲載の過程で偏向があった。 
ただし、地球温暖化の二酸化炭素主因説を信じる人には2番目、3番目の項目はほとんど取り上げられない。
そこでクライメートゲート事件とは何だったのかについて知る必要が出てくる。しかし日本語で読める本は次の本のみである。この本を読めば、Wikipediaや巷にあふれるクライメートゲート事件の解説が偏ったものであることが理解できるだろう。
スティーブン・モシャー+トマス・フラー著 渡辺正訳「地球温暖化スキャンダル 2009年秋クライメートゲート事件の激震」
しかしこの本を読む気力がない人は次の二つの文献を読まれるとよい。
「化学」Vol.65.No.3(2010) Climategate事件 東大生研 渡辺正
「化学」Vol.65.No.5(2010) 続・Climategate事件 東大生研 渡辺正
私はこのリンクを次のサイトから入手した。(通常「化学」のバックナンバーはFlashで公開されている)
http://www.env01.net/global_warming/climategate.htm
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by takaminumablog | 2011-11-08 14:47 | 読書日記(環境問題) | Comments(0)

地球温暖化論の嘘を学ぶための読書案内-1

地球温暖化問題とはつぎの二つの事柄を組み合わせていう。
(1)1900年ごろから地表の平均気温が急激に上昇した
(2)その原因は人類の活動、主として二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの排出によるものである
マスメディアの扇動の効果もあって、大部分の日本人が正しいと信じているらしい。
そこで、その嘘について、正しく学ぶための本を何冊か紹介する。今回はその第一回目。
一冊で嘘の全体像を理解したい方は次の本がお勧め。
深井有2011「気候変動とエネルギー問題 CO2温暖化論争を超えて」中央公論新社
この本の第一章を読めば、地球が温暖化したのは1900年以降だけでなく、中世にも暑いときがあったこと。その事実を隠すため気候学者が何をしてきたか(いわゆるクライメートゲート)が理解できる。過去に地球は激しい寒暖を経験してきた。そのメカニズムは何なのかについてまで解説した本は少なかったが、それが簡潔に説明されている。ただしここで解説されている宇宙線原因説はまだ完全に科学界に受け入れられていないようだ。
この本の2章以降はエネルギー問題を解説しているが、化石燃料の枯渇という通説に影響された内容である。念のため、二章以降の何が問題なのか記述しておく。
しかしながら化石燃料は限られた資源であって、いずれは枯渇する。推定埋蔵量を年間使用量で割って可能採掘年数を見積もってみると石油は40年、石炭は130年、天然ガスは60年となる(『エネルギー白書2009年版』) p.156

 化石燃料の推定埋蔵量は極めて政治色の強いもので、過去に激しく変動してきたことを著者は御存じないのだろうか。化石燃料がいずれは枯渇するにしても、地球温暖化が嘘だと判明した現在は、火急の問題ではない。長期的な見地にたって持続可能エネルギーの研究開発を進めるべきである。(著者も指摘するように、現在太陽光発電の普及に補助金が支給されているが、現時点では採算の取れないものを普及するよりも、研究開発を重視すべきである)
 
その意味では、これまでの二酸化炭素削減キャンペーンを続けることには一定の意味がある。ただし大気中への二酸化炭素排出を減らすこと自体を目的にすると、そのために余分なエネルギーを消費するという滑稽なことになる。電気自動車がその例である(電気を作るには、ガソリンを使うよりも多くのエネルギーが要る)。 P.157

この指摘は誤っているだろう。いろいろな試算が公開されているがガソリン車の方が、エネルギー効率が高いといものは見当たらない。 こちらの記事が面白い。ガソリン輸送の効率は高くても、最終段階のモーターを駆動する効率が悪い。つまり、いつかガソリン車はEVにとって代わられるだろう。
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by takaminumablog | 2011-11-06 15:28 | 読書日記(環境問題) | Comments(0)

柴田一成2010「太陽の科学-磁場から宇宙のなぞに迫る」NHKブックス

桜が散ってから、再び冬になった。マスメディアは、暑い日や暖冬は「二酸化炭素排出による地球温暖化」と説明し、寒い日は「北極振動」だと説明する。いい加減な解説ではあるが、後者の説明は誤りではない。「北極振動」は北極の寒気が振動する現象を指し、原因については何も言っていない。(原因もよくわかっていないらしい)そもそも二酸化炭素排出による地球温暖化は「科学的に」確定したことだろうか。掲題の本の序章を引用しておこう。(p.10)
このように地球生命にとって欠かせない太陽ですが、その活動は一様ではなく、活発さには高低があることがわかっています。太陽活動の活発な状態は太陽表面の黒い染み、黒点を見ればわかります。最近「二酸化炭素(CO2)の排出による地球の温暖化」が話題となり、問題視されています。しかし温暖化の原因は、二酸化炭素といい切っていいのだろうか、と私は思っています。
少なくとも地球の長い歴史をひもとくと、黒点の多かった時代には地球全体が温暖化していることが分かってきています。(第三章で詳述)他方、黒点の少なかった時代は寒冷化しており、黒点と気温の密接な相関関係が見て取れます。実は、最近は黒点が100年に一度といわれるほど少なく、太陽の不活発な時期が続いているため、寒冷化が心配されています。
寒冷化は生物にとって甚大な被害をもたらします。温暖化で大変だといっていますが、寒冷化になったら食料は不足するし、エネルギーは足りなくなるし、それこそ人はたくさん凍死するなど、その被害は桁違いに大きいのではないでしょうか。

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by takaminumablog | 2010-04-17 09:35 | 読書日記(環境問題) | Comments(0)

好感の持てる地球温暖化解説書

江守正多2008 地球温暖化予測は「正しい」か?-不確かな未来に科学が挑むー 化学同人
過去に地球温暖化予測に対する疑問がいくつも提示されてきた。頭ごなしにけなす文章は見たことがあるが、まともな反論というものを見たことがなかった。どうも環境学者はイデオロギーとサイエンスをカップリングする困った傾向があるようだ。
地球温暖化予測への有力な批判の一つは「コンピュータシミュレーションにインチキがあるのでは?」である。
もう少し具体的いうとシミュレーションでは地球を数百キロメートル四方の升目に分割して計算している。この升目より小さな現象は「パラメータ化」という手法で逃げてきた。この手法はこうしなければならないといルールはなく、インチキがあっても分からないのではないかというものである。この本の著者はその批判にまともに回答している。
さて、パラメータ化の仮定が経験的ということが、現在の気候のデータと合うようにご都合主義的に勝手にいろいろ決めてよいかという意味だとすると、かなり心配な気がします。つまり、パラメータ化の部分を好きなようにいじれば、モデルの結果をいくらでも好きなように現実の地球に似せることができるのではないかという疑問が生じます。
しかし、これは気候モデルの開発に携わっている研究者の実感としていいますが、幸か不幸か、実際にはそれほど勝手なことはできないのです。第一に、すでに述べたように、各種の保存法則をはじめとする理論に矛盾することはできません。これは当然のことです。第二に、経験的な定数などもでも観測データからその値が非常によく分かっているものについては、そのとおりの値をつかわなくてはなりません。これも当然です。
第三に、経験式といえども、地球全体で同じ式を普遍的に使わなければなりません。これは、どこかでそういう取り決めをしたという話は聞いたことがありませんが、われわれ気候モデルの専門家の常識として、そういう約束になっているように思います。-中略― 
このように気候モデルは完全ではありませんが、インチキでもありません。そのことがモデルの成り立ちの面から理解していただけたのではないかと思います。

実は気候モデルの批判者たちからインチキ臭いと言われるものに「フラックス調節」がある。これについてもこの本で言及されている。
じつはひと昔前のモデルでは、海面水温の分布をうまく表現することができませんでした。現実的な水温の分布を初期条件にして計算をスタートすると、計算が進むにつれて海面がどんどん冷えてしまったり、どんどん暖かくなってしまったり、どんどん水温の分布が変ったりして現実的な気候の状態を維持できなかったのです。
それでは困るので、当時のモデルでは、海面水温の分布が現実的になるように、大気と海のあいだの熱のやりとり(フラックス)に人工的な補正項を追加して計算を行っていたのです。また多くの場合、大気と海のあいだの水のやりとりにも同様な補正を加えていました。このような操作を「フラックス調節」と呼びます。
フラックス調節の補正項は場所と季節によって値が異なりますが、毎年同じ値を与えています。
また温暖化する前と後でも同じ値を与えます。温暖化する前と後で同じ値を与えているのだから、予測結果にはあまり影響を与えないはずだという主張もありました。しかし、この項の存在はエネルギーや水の保存則に反していますし、場所による値の違いに物理的な意味はありません。さきほど説明したパラメータ化の半理論性(物理法則に矛盾しない)と普遍性(どこでも同じ方程式を使う)の精神に照らして考えると、どうも反則気味な気がします。不完全性の大きなモデルで多少とも意味のある実験をするための、苦肉の策といったところでしょう。
ところがIPCCの第四次評価報告書にでてきた気候モデルは、ほとんどがフラックス調節なしで、現実的な海面温度の分布を維持し、100年でも200年でもきちんと、その温度が維持されて走るモデルになってきました。
大気モデルと海洋モデルがそれぞれ充分に現実的になれば、大気と海洋のあいだの熱や水のやりとりが現実的になり、ちゃんと現実的に走ったというわけです。これはわれわれのコンピュータの能力の向上に加えて、われわれが自然を理解した結晶であるところのパラメータ化、それが進化していることを意味しているのです。

分かりやすい表現でいうと「イカサマしなくても、まともそうな結果が出せるようになったので、イカサマは止めた」ということらしい。
なにはともあれ気候シミュレータの研究者からの正直な解説は参考になる。
実は地球温暖化の二酸化炭素主因説に対する最も大きな疑問は、シミュレーションではなく、その前提となっている放射強制力である。この本には放射強制力についてちょっとした解説はあるが、二酸化炭素の放射強制力がどうやって導き出されたのかまでは解説されていない。二酸化炭素の放射強制力がずば抜けて大きいという前提に立てば、二酸化炭素が増えれば温暖化するという結果になるだろう。この問題について解説した本を出版して欲しい。そのような本が出版されるまでは地球温暖化の二酸化炭素主因説を信じるのは保留した方が良いだろ。
ところでTechobahnの記事によると「人類の活動が地球温暖化の主因である」と信じる気象学者は64%だったそうだ。
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by takaminumablog | 2009-01-23 17:06 | 読書日記(環境問題) | Comments(0)

温暖化の二酸化炭素主因説は正しいか?

赤祖父俊一2008「正しく知る地球温暖化」誠文堂新光社
マスメディアが流す地球温暖化に関する誤った情報には目に余る。今日も「地球温暖化が進み埼玉県で取れる農作物に変化が生じる」という話題を流していた。しかし埼玉県の熊谷市や岐阜県の多治見市が暑いのは地球温暖化のせいではなく、ヒートアイランドのためだ。
そもそも地球温暖化の原因は二酸化炭素(炭酸ガス)のせいなのだろうか。二酸化炭素が関係しているとしても過大評価してはいないだろうか。(IPCCの主張は正しいのだろうか)
地球の温度はその誕生以来、激しく変動してきた。そのメカニズムはまだ充分解明されていない。解明されていない段階で解明されている仕組みだけで方程式を立てて、直近のデータだけを用いて100年後の気温をシミュレーションで求めて何になるかと以前から考えていた。私が主張してもだれも信じないだろうが、同じことを著者も述べている。「でも北極圏の氷が溶けているではないか」という人は、アラスカ国際大学北極圏研究センター所長を務めていた著者のコメントに耳を傾けて欲しい。
第四章、第五章で示したように、現在の温暖化の大部分が自然変動である可能性が高い。地球は1400年ごろから小氷河期という寒冷期に入り、1800年以前から回復し始めた。したがって気温は1800年またはそれ以前より、100で0.5℃の上昇率で現在まで直線的に上昇している。炭酸ガス放出の増加は1946年頃から始まったのであるから、この1800年頃からの連続的な上昇は自然変動である証拠である。
IPCCは過去100年の温度上変化率は0.6℃としているので、もしこの自然変動が確かであれば、炭酸ガスによる温室効果は100年で0.1℃ということになる。すなわち、炭酸ガスによる温室効果は彼らの主張する0.6℃のせいぜい六分の一ということになる。したがってIPCCは炭酸ガスの影響を過大に評価しており、コンピュータはそうプログラムされて(教えられて)将来予測しているので、あまり信用できない。IPCCはもっと過去のデータを研究すべきであった。わずか過去100年程度のデータで、現在の温暖化が炭酸ガスによるとすることは竜という想像動物(証明されていないIPCCの仮定)を追いかけているようなものである。(竜は実在したが)。
温暖化危機のための大災害が起きると叫ぶ前に、このような温暖化の基礎研究をもっと進めなければならない。今からでも遅くはない。現在の段階では、コンピュータによる研究はまだ大学の練習問題に取り組んでいるような段階で、国際政策決定に使えるようなものではない。IPCCの発言に沿って膨大な資金を使って炭酸ガス放出削減することができても、自然変動が続けば現在に近い温暖化は続く可能性さえある。自然変動は止めることはできない。アル・ゴアは「気候変動をストップしよう」と発言しているが、これは地球の回転や火山爆発、台風をストップしようと主張しているのに似ている。

「何が何でもIPCCの結論は正しいのだ」と信じて疑わない人は、前にも紹介したロンボルグの次の著書を読んで欲しい。ビョルン・ロンボルグ著 山形浩生訳「地球と一緒に頭も冷やせ」ソフトバンククリエイティブ
マスメディアやアル・ゴアの発言はIPCCの主張を大きく逸脱していることを説明している。
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by takaminumablog | 2008-08-27 13:04 | 読書日記(環境問題) | Comments(6)