安井健一2007「正義の国」の日本人 なぜアメリカの日系人は日本が“嫌い”なのか アスキー新書
この本が池田信夫ブログで紹介されていた。この本を読むとアメリカ在住の日系人たちが過剰にアジアに迎合せざるを得ない悲しい(?)現実が良く分かる。それは仕方ないとしても、日本のマスメディアはその日系人たちの意見に迎合しているのではないだろうか。 この本の最終章は「ジャパニーズの将来」となって米国の日系人がやがてアメリカに吸収されてしまうのを嘆いているようにも取れる記述がある。しかし、なにも嘆くことはない。アメリカに生まれた彼らはアメリカ人なのだ。 アメリカで増えている韓国系や中国系の人も本国の少子化に伴い、同じ道を辿るだろう。 著者は日本人のアジア人差別意識も批判している。この本の著者はアメリカにおける差別の実態(勤勉な日系人が分けもなく差別されてきたこと)を良く知っているはずなのに最終章を書く段になると、すっかり忘れてしまったようだ。 たとえば普通の日本人が中国人を警戒するのは犯罪者の割合が圧倒的に高いからだ。国籍以外にその人に関する情報がなければ、とりあえず警戒するのは当然ではなかろうか。正確な統計は調べていないが先日読んだ本(岩男壽美子「外国人犯罪者」中公新書)につぎのような記述がある。 この二、三年に新たに収容されたF指標受刑者を国籍別に見ると、その五割弱を中国人が占め、ついでブラジル人、韓国・朝鮮人、イラン人の順となっている。これらのうちイラン人のみが彼らに認められていた査証免除が中止されたせいか減少傾向にあり、他の国の受刑者はすべて増加傾向にある。 確かに日本にもアジア人差別はあるが、その理由は日本人が生理的にアジア人を嫌っているからではないように思う。個人の差別意識を批判しても無意味だ。差別をなくすためには、次のような制度上の課題を解決することが必要だ。 いい加減な外国人研修制度を廃止する 外国人雇用者に対する失業保険の充実(帰国費用もないのは困る) 不法就労者の雇用者に対する厳罰制度 在日外国人の子弟に対する支援制度 など ついでながら、私は日本在住で「日本語を常用している」在日韓国・朝鮮人も「日本人」になってもらうことが必要だと考えている。そのための障害(例:夫婦同姓)を除去するべきだと思う。
by takaminumablog
| 2007-11-21 15:22
| その他の読書日記
|
カテゴリ
以前の記事
2021年 05月 2021年 01月 2020年 01月 2019年 03月 2019年 01月 2018年 11月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 01月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2014年 02月 2013年 02月 2012年 11月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 07月 2011年 04月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 10月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2009年 10月 2009年 08月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 フォロー中のブログ
最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||