次の本の表紙に約7000年前の関東地方の地図が載っている。
日本第四紀学会2007「地球史が語る近未来の環境」東京大学出版会 海が現在の海岸線よりも深く内陸に入り込んでいるのがわかる。 この頃(日本の縄文時代)は現在よりも2℃くらい温暖で海岸線が深く内陸に入り込んでいたため、縄文海進と呼ばれる。(こちらの記事が参考になる) 昨今温暖化が危機感をもって騒がれているが、縄文時代と比較すれば、温暖ではない。 温暖化はこれから起こると予想される危機である。 しかし、たった2℃気温が上昇しただけでこんなに海水面が上昇するなら、21世紀末には東京が水没するのかとちょっと不安になる。 その答えが上記の本の第2章に次のように解説されている。 氷期の終了と共に陸上(北米大陸やスカンジナビア半島)にあった氷河が融解し海水面が140mも上昇した。融水は海洋に移動し海底面に新たな加重として加わったが、地球内部のマントルは粘性体であるためすぐには反応しない。縄文時代は海水の増加分海面が上昇した。しかし新たな加重は徐々に海底下のマントルを圧迫しマントルは陸地のほうに流れ込み陸地を押し上げた。そのため現在のような海岸線となった。このようにある程度弾力性がある地殻が重力とバランスを保つことを「アイソスタシー(isostasy)」というそうだ。特に海水とのバランスの場合は「ハイドロアイソスタシー(hydroisostasy)」というらしい。海水の量は現在の方が縄文時代よりも多いのにアイソスタシーの働きにより海岸線が現状のような海退状態になった。要するに海水の加重が陸地を押し上げたわけだ。 西九州では、縄文時代の住居跡など陸上にあったはずの遺跡が現在の海水準下で発見される理由もハイドロアイソスタシーで説明できるそうだ。 この本にはデルタ地帯の海岸線が上流に作られたダムの影響を受けて侵食されていることなども解説されている。 温暖化により世界の平均的な水位が上昇するが、個々の地域で海岸線がどうなるか予測することは大変難しい。
by takaminumablog
| 2007-07-10 16:39
| 読書日記(環境問題)
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