治安悪化神話を作ったのは誰か

浜井浩一、芹沢一也2007 “犯罪不安社会―誰もが「不審者」?” 光文社新書
治安悪化が深刻な状態になっているのは「常識」になっているようだ。しかし、これはメディアが作り出した嘘。この本の第一章にそのことが詳しく書かれている。「犯罪は増えていてもそれが認知されないだけではないか」という反論もあるかもしれない。たしかに、警察がつくる統計では警察の定義により統計値が変化するがしかし人口動態統計の「加害にもとづく傷害、死亡人員の推移」をみても近年凶悪事件が増えたということはない。 さらに「非行の低年齢化」が話題になるが、これも嘘。少年犯罪はむしろ高年齢化しているというのが事実である。暴走族の中に成人が占める割合も増加している。

 実は私もこの本を読むまで次のことを信じていた。
刑事司法関係者を含めて多くの人が誤解しているのが、無期懲役者の多くが15年程度で仮釈放になるという根拠のない噂である。これは『犯罪白書』を読めば誰でもわかる事実であるにもかかわらず、元裁判官や元検事を含む多くのコメンテーターと言われる人たちが「無期刑といえども15年程度で仮釈放になる」と発言するのを聞くことがある
  p.227
私のその発言を聞いた一人だ。
2005年の仮釈放数は3人で、3人の平均在所期間は20年を超えている。同年の新確定無期懲役受刑者は130人を越える。実務的には、人が死亡した事件で無期刑の仮釈放は、よほどの事情がない限り認められていない。つまり無期刑は運用上、終身刑化しているのが現実である。
p.227~p.228
要するに治安悪化に関してマスメディアが流す情報(?)は嘘だらけ。
[PR]
by takaminumablog | 2007-03-23 14:15 | その他の読書日記 | Comments(2)
Commented by a at 2007-04-23 05:52 x
お読みください。
本来、終身刑とは刑期が終生に渡るものをいい、その刑期途中での仮釈放の可能性のないもののみを終身刑というわけではありません。
終身刑には、絶対的終身刑と相対的終身刑の2種があります。
日本では一般的に絶対的終身刑にあたる刑のみが終身刑と認識されているため誤解が生じています。
http://www.geocities.jp/y_20_06/shiryou_muki.html
Commented by takaminumablog at 2007-04-24 13:54
有益な情報をありがとうございます。
<< 新聞紙は環境に悪い 篠田謙一2007 「日本人にな... >>