右をみても左を見ても馬鹿と阿呆の絡み合い

薬師院仁志2006「日本とフランス 二つの民主主義―不平等か、不自由か」光文社新書
社会学者である著者は数年前「地球温暖化論への挑戦」という日経用語でいう「領空侵犯」本を書いている。専門外の分野であるにも関わらず、俗論への疑問を詳細に論じている。今回は領空侵犯ではなく社会学の中心テーマ。
 日本の知識人やマスメディアはアメリカの論調だけを見て、それがグローバル・スタンダードだと主張しているように思えてならない。そのくせ、イラク問題のような外交にからむ問題になると「日本には独自性がない」と批判している。左派は左派で「大きな政府」を主張するくせに消費税反対を叫ぶ。日本の左派は戦時中のスローガン「民主主義=支配階級への抵抗」という図式から抜け切れていない。
 このような腹立たしい状態を、「自由をもめて不平等になる日本の民主主義と平等を求めて不自由になるフランスの民主主義」という観点から見事に解説した本だ。昨今話題の格差社会や小子化問題も日本をフランスの実情と比べると良く理解できる。
 この本を読んで、右や左の馬鹿と阿呆を冷笑しながら、少しは賢くなったような気がした。
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by takaminumablog | 2006-08-20 17:08 | 読書日記(その他の科学) | Comments(0)
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