四手井綱英2006「森林は森や林ではない-私の森林論」ナカニシヤ出版
もう一つ森林生態学の大長老の本に書いてあったことを紹介したい。 私がこんな話をくどくどと書かねばならなかったか、すなわち、砂漠やオアシス、中国のポプラなどを書く必要に迫られたかというと、近頃「砂漠に植林する」ということがよく言われるようになったからだ。砂漠は砂が溜まった所と思い込んでいる人が多いことも気になりだしたからだ。砂漠が砂の集まった所だとしか考えない人の中には、海岸の砂丘と砂漠を同一視する人がいる。 先生、お年をめされているだけあってやさしいのですね。 砂漠は降水がきわめて少ないが、日本の海岸には降水が充分ある。海岸が乾いて見えるのは、降水が砂の下部まで浸透してしまって、使いにくいだけだ。日本では、根を地下深くまでまっすぐ伸ばすことのできるマツ類のような樹木なら、砂で埋まらない工夫だけをしてやって植えれば、地下の水が使えるため、植えられた苗木は結構育つ。昔から海岸砂防のためにマツ類が利用されているのはこのためだ。 現在の時点に限るが、砂漠の緑化とか、砂漠に木を植えようなどと言っている砂漠は、本当の砂漠ではない。多雨地帯ではあるが、それぞれ木の生えていた地域を伐り荒らして荒野になってしまった地帯が数多く含まれている。真に水の不足した地帯に木を植えることはさらに水を不足させる愚かな行為に過ぎない。このことは、誰が考えても明らかである。したがって、真の砂漠に植林はありえない。砂漠緑化を声高に主張する人々の、真の目的は何かといつも疑問に思う。似非科学者の愚かな着想に影響を受け、水不足地帯に一生懸命に木を植える人々の姿を見ると本当に情けない。 我々庶民は似非科学者やアホなマスメディアにだまされないように注意する必要があるようだ。
by takaminumablog
| 2006-08-12 11:12
| 読書日記(環境問題)
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