IPCC第5次評価報告が昨年9月に発表された。気象庁のサイトから日本語の要約が読める。
このIPCC第5次評価報告にたいする厳しい批判が国際環境研究所のサイトに4回にわたって連載されている。ぜひ一読されたい。 マスメディアばかりを情報源に生活している人は、あまり気づかないだろうが、二酸化炭素削減は一向に進んでいないにもかかわらず1998年ころから温暖化はほとんどとまってしまった。(この事実は「異常気象と人類の選択」の著者、江守正多も認めている)普通に考えれば、IPCCの過去の評価報告は誤っていたことになる。何らかの自然変動ということもありうるが、20世紀後半の急激な温暖化は自然変動では生じないというシミュレーション結果とは相容れない。第5次評価報告では大幅な修正が必要になるはずだった。 そこで考え出された(?)アイデアが「海水が熱を吸収した」ということらしい。唐突な主張には違和感がある。それを証明するような詳細なデータが提出されるまでは、単なる思いつきにとどまる。 また「二酸化炭素の累積排出量と世界平均地上気温の上昇量は、ほぼ比例関係にある。(新見解)」(気象庁による翻訳記事p.3)というのも変。こんな単純な法則が、今頃、なぜ新見解としてでてくるのだろう。古気候では、温暖化が、急激な寒冷化をもたらし、その後温暖化した事件が知れている。累積二酸化炭素が温暖化をもたらすとしても、「比例関係」というのはおかしい。(知らない方は「ヤンガードリアス」で検索し確認されたい) 要するにIPCC5次評価報告は1998年ころからの温暖化停止(中断?)をうまく説明できない、しかし今までの主張を大幅に変更できない、という制約の中で取り繕った評価報告のように見える。 IPCCはウォーレス・ブロッカーの次の言葉を噛み締めてほしい。 私の思考やアイデアにおいて、これらのコピュータシミュレーションが影響を与えた部分は、実は一部の特筆すべき例外を除き、ほんの少ししかない。思うに、これらのシミュレーションが正しく予測を算出した例はきわめて少ない。むしろ、ほとんどの場合、すでに観測された古気候をただしく再現すべく懸命に追いかけていると言った方がよいかもしれない。「気候変動はなぜ起きるか グレート・オーシャン・コンベヤーの発見」講談社ブルーバックスp.17
by takaminumablog
| 2014-02-10 13:59
| 読書日記(環境問題)
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